ロングセラー商品秘話
- ロマンライフ様(洋菓子店)京都・北山
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京都では有名な洋菓子店さんであり、屋号は、「マールブランシュ」。
地元京都の百貨店等に出店されています。最も有名なお菓子は、茶の菓。
皆様の中には、京都駅等でお買い求めになられた方も、いらっしゃるかもしれません。この有名洋菓子店のロングセラー・・・「マールハウス ハピネス」という、ブライダル好適品です。
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当時、立ち上げたばかり会社は、ナイナイづくし・・・。ヒット商品も何もない状態です。
商品の試行錯誤を繰り返し各所に足を運び続ける毎日・・・。
人材も環境もない状況でのモノづくりは、思っていた以上に大変であり、専属デザイナー等の専門家もいない中、きっかけをつかむため東西奔走されていたそうです。そのヒントをつかむために訪れたのが、「ギフトショー」
ご存じの方も多いと思いますが、東京・大阪等で開催されています。https://www.giftshow.co.jp/当時、弊社はギフトショーに出店していました。(現在は、出店しておりません)
そこで目に止まったのが、弊社ミルパックス(再生紙)でした。
更に、その再生紙を「Vカット」と呼ばれる技術で加工した箱を目にした途端・・・。「環境にもやさしい。これから絶対に広まる!」こう感じられたとか。(本当に嬉しい限りです)
しかも再生紙を使っているにも関わらず、頑丈で高級感もある。
これでなにか作れないかと弊社へお声をかけていただき、マールブランシュ様と弊社の商品開発の1歩を進みだしました。
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ミルパックスの商品は、PAXALIVE の製品力
でご確認ください。ここでのポイントは、当時から「環境」に関する話題や商品が社会的に取り上げられ始めた時期であり、そのトレンドをいち早く取り入れようと取り組まれたことがあると思います。
やはり、社会や消費者動向に影響する「トレンド」は重要だということを改めて認識させられました。
パッケージ開発を行うにあたり、ただ再生紙を使用するだけでは味気なく、ただ箱を作るだけも物足りない。
見てあこがれる、見て楽しくなるそんなパッケージを作りたい。具現化することは、困難を極めました。
それは、「抜き」という加工を施すという点でした。箱に「抜き」と呼ばれる、丸や三角の穴を開けることは、包装された商品に箱外から塵や埃が入り込む可能性があり、非常にリスクが高いものだったのです。
しかし、先方の熱い思いがあり、弊社も頑張りました。(社内でも懸念されていましたが、押し通されたとか)
少しだけ技術的な内容をお伝えします。
抜き加工には、抜型が必要です。
CADなどの抜型データから作製し、合板の板に切り込みを入れ、そこに刃を埋め込んで作ります。刃を折り曲げて形を作っていくので極端に複雑な形や細かい形は苦手としています。そのため、星や三角など尖った部分があるものは角が丸みを帯びてしまうのが一般的でした。下記画像は、非常に難しい「抜き」である音符。
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丸い曲線と、尖った先端を抜くという技術は、国内で加工できる技術力は、希少価値と言われています。
しかも、同じ品質で一定数を製造するとなると、非常に手間も時間もかかり、職人技の集大成と言えるのです。
製作開始時は弊社も期待通りの加工は出来ず悪戦苦闘。
抜き型の刃の高さ、曲げ具合の調整や、刃と刃の合わせ目の処理など、試行錯誤を重ねたのです。そして、約1年後、いよいよデビュー。初進出した百貨店において、販売開始。
社内の懸念材料はなんのその、年間約36,000個を初年度より売り上げ。
その後も好調が続き専用ブースを構えるほどに成長していきます。その中でも、特にパッケージデザインは子供がお金を貯めて買いに来るほど好評で、中のお菓子を食べ終えたあとペン立て、小物入れなどに使用しているというお話をたくさん聞かれたそうです。
当時担当であり、現在の相談役は、「学生さんの笑顔がいまだに忘れられない」と、にこやかに語っていただきました。
ここでのポイントですが、やはり他社が真似できないパッケージの力は大きかったことがあります。(大きく差別化できました)
実は、他社が真似をしようとしてみたものの,形は同じようなものであっても、材質もそうなのですが、抜き加工でも細かなところが抜ききれなかったそうです。
やはり、こだわり抜いた分、他社には再現が出来なかったようです。今回、メール配信にあたり、現相談役にインタビューをさせていただいたのですが、心に残った言葉がありました。
「中の商品も大事、パッケージも大事。お客様に感動を与え満足していただくことが大切。」
と、いう言葉です。
良いものを作れば売れるではなく、常にお客様がどう思うかを考える。
この視点や考え方が、ロマンライフ様が現在もヒット商品を生む根幹になっていると感じた次第です。
ところで、ご紹介した「マールハウス ハピネス」ですが、モデルがあります。
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当時本社落成にあたり、海外・国内各地を訪問し、文献を広めた上でこの建物にたどりついたそうです。
外から中が見渡せる大きな窓、大理石のアーチ、玄関前の広い空間など当時では、珍しいものばかりが使用されています。
この本社建物をパッケージにしたい。
やはり、思い入れのある商品だったのです。